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2024.01.04
太陽光発電・EV・V2Hによる光熱費削減メリット(速報版)
担当者 : 小川 祐貴

自宅を建て替えてちょうど1年が過ぎました、小川です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、自宅には太陽光発電設備に加え、電気自動車(EV)とEVへの充電、EVからの給電を行うためのV2Hユニットを設置しています。
太陽光発電設備で日中の電力消費をまかなうだけでなく、EVを蓄電池として活用し、夜間の電力もほとんど自給することができています。
EV、V2H導入は2023年途中からでしたので1年分のデータはまだ完全に揃っていませんが、リクエストいただきましたので2023年1月~12月までのデータを簡単に整理してみました。
なお、情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、前提としているデータは住宅1件のみのサンプルデータであり、あらゆる条件下で同様の結果が得られるわけではないことにご留意ください。
本記事の情報によって生じたいかなる損害・損失等について弊社は責任を負いかねます。

 

主な要点は次の通りです。
・現時点での価格、性能ではV2Hユニットに対する投資回収は困難
・太陽光発電+オール電化+EVかつEVの(太陽光発電を活用した)日中充電とエコキュートの昼間沸き上げが最も経済的

 

以下では①弊宅の設備構成、②発電電力量と自家消費の状況、③消費電力量に対する供給方法の内訳、④電気料金と売電収入の状況についてまとめます。

 

①設備構成
弊宅はオール電化で電気の需給に関わる主な設備は次の通りです。
・太陽光発電設備(屋根置き:パネル11.36kW/パワコン9.5kW)
・V2Hユニット(最大充電・給電出力6kW)
・電気自動車=EV(蓄電池容量40kWh:通勤では使用せず、週末のレジャー等でのみ使用)

 

家電製品のうち消費電力量が多い主なものは次の通りです。
・エコキュート(貯湯容量460L)
・エアコン(計2台:23畳用・12畳用)
・冷蔵庫(2016年製・庫内容量475L)
・食洗機(12 人分 72点(JEMA規格):1回/日使用)

 

エアコンの使用状況は次の通りです。
・23畳用:夏季は6時間/日、冬季は15時間/日使用
・12畳用:夏季は10時間/日、冬季はほぼ使用せず

 

他に浴室暖房を使用することがありますが、その他に空調機器は使用していません。

 

②発電電力量と自家消費の状況
太陽光発電設備による発電電力量に占める自家消費量と売電量は次の図の通りです。

 

 

年間合計の発電電力量は約15,000kWh、自家消費率は約45%でした。
ただし、1~2月の一部期間で太陽光発電による発電電力量の記録が一部欠損していること、V2Hユニットの導入が2月半ば頃でしたので、全てのデータ・設備が揃った状態での数値ではありません。

 

③消費電力量に対する供給方法の内訳
消費電力量に対する供給方法の内訳は次の図の通りです。

 

 

各月の消費、供給について、消費は宅内消費量=EVへの充電を除く全ての家電による消費量、充電量=EVへの充電電力量に、供給はPV自家消費=太陽光発電による電力の自家消費量、V2H供給量=EVの蓄電池から供給した電力量、買電量=宅外から購入した電力量に分けて表記しています。
年間合計での宅内消費量は約5,800kWh、充電電力量は約4,700kWh、充電を含む太陽光発電の自家消費量は約6,800kWh、V2HによるEVから宅内への供給量は約2,200kWh、買電量は約1,700kWhです。
V2Hユニットを導入した2月以降は買電量が大きく減少し、V2Hによる供給も含めほとんどの消費電力を自給することができました。

 

ただし冬季は太陽光発電による発電電力量が落ち込むと同時に給湯・暖房による電力消費が増えるため、太陽光発電だけでは消費電力をまかなえていません。
また、11月中旬からはなるべく太陽光発電による電力を有効に活用するためエコキュートを手動で昼間に稼働させるようにしています(それ以前は夜間に稼働)。
また走行分も含めたEVからの電力供給量は約2,900kWh(宅内供給量2,200kWh+走行分700kWh)でしたので、V2H利用による損失率は約38%でした。
(ただし損失にはV2Hユニットの稼働に必要となった電力も含まれています)
損失率としてはかなり大きな数値に感じられますが、金銭的な得失がどの程度だったか、続いて見ていきます。

 

④電気料金と売電収入の状況
期間中の電気料金と売電収入の状況をまとめたものが次の図です。
なお電気料金単価については月ごとに変動があるため、下図では基本料金、燃料調整費、賦課金、税等を含めて全ての月で40円/kWhとして計算しています。
また売電単価は固定価格買取制度適用開始直後の17円/kWhで計算しています。

 

 

参考として表示している宅内消費電気料金は、太陽光発電やV2Hが全くない状態で宅内消費量に対して電気料金単価を乗じて算出した、何もなかった場合の電気料金です。
これに対し差引支出は電気料金が売電収入を上回った月の正味支出、差引収入は売電収入が電気料金を上回った月の正味収入を示しています。
電気料金は買電量に電気料金単価を乗じて算出した額、売電収入は売電量に売電単価を乗じて算出した額です。
年間合計では太陽光発電やV2Hを設置していない場合の電気料金が約23万円となるのに対し、実際には約7万円の収入と、設備を導入したことで約30万円分の収入になっていることが分かります。
設備投資に要した費用は電気自動車を除いて380万円前後でしたので、1, 2月に全ての設備が揃っていなかったことも勘案するとシステム全体としては12年ほどで投資回収できる見込みです。
(自動車はいずれにしても必要なので設備の費用としてはカウントしないと考えています)

 

次にV2Hユニット単体に着目した収支を検討します。
弊宅での導入費用は約100万円だったのに対し、V2H導入による電気料金削減額は宅内供給量2,200kWh✕40円/kWh=88,000円ですが、充電に使用した4,700kWhのうちEVの走行に使用した700kWhを除く4,000kWhはV2Hを導入していなかった場合、余剰売電されるはずのものですので、4,000kWh✕17円/kWh=68,000円は機会費用と捉えられます。
実現した削減額88,000円と機会費用68,000円の差、20,000円がV2H導入による正味の追加的な経済的メリットと考えられますので、単純計算で投資回収に50年間かかることになります。
V2Hユニットがどの程度の期間使用できるかについてはまだ分かりませんが、太陽光発電のパワコンと同様に10~15年程度と想定されるようですので、投資回収には至らないと思われます。
V2Hユニットへの投資が経済合理的となるためには、現状よりも本体価格が下がること、充放電時の損失(ユニット使用時の電力消費量)が低減すること、(機会費用の決定要因である)買取価格の低減が必要になりそうです。

 

なお、弊宅のものから価格が半額程度の機種もありますが、そちらは充放電能力が3kWですので、若干ですが経済的メリットも少なくなると予想されます。
とはいえ、V2Hユニットの使用期間中に投資回収するのは難しいように思われます。
また、停電時に太陽光発電の余剰分をEVに充電できないなど、充放電能力以外の機能面にも違いがあります。

 

いずれにしても現時点では経済的なメリットよりも、自宅に設置した太陽光発電の電力を自ら活用できることの(環境)価値や、災害(停電)時にもほぼ平時同様に電力が使用できることの価値を評価する場合にV2Hユニットを導入することが合理的な判断になると言えそうです。

 

ちなみに損失率をどう考えるかですが、電気料金単価を40円/kWhと想定した場合、EVに蓄電した電力1kWhを宅内で消費した場合の価値は40円/kWh✕1kWh✕(1-損失率)≒25円(EVに蓄電した1kWhは宅内消費のために供給する際に38%ロスして約0.62kWhとなる)で、売電する場合の単価17円/kWhより依然として価値が高いと考えられます。
よって1消費者の立場からは、V2Hユニットを保有しているなら40%近い損失率を考慮してなおV2H経由で自家消費することが経済合理的と言えそうです。
社会全体としては、充電にまわっている電力がネットワークに供給された場合の需給調整にかかる費用や、弊宅以外も含め多くの住宅から余剰電力がネットワークに供給されるようになった場合に必要な設備投資額を、各宅でのV2H導入によって節約できることの価値など、考慮すべき事項が色々ありますので、ここでは結論を避けます。

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